まちのおくすりやさん 有限会社みま薬局

季節漢方養生

春の漢方養生

春めく陽気に誘われて、あちらこちらで花が咲き、 ふと笑みがこぼれそうです。春は自然界の陽気の上昇とともに、体内の陽気の生長が促される季節です。春を元気に過ごすために、「肝」の養生を大切にしましょう。


春の養生ポイント


春には「肝」のケアに心がけましょう

「肝」は春の養生に深く関係します。暖かな日差しを受けて草木がのびやかに成長する姿は、自律神経のバランスを調節して体内の気の巡りをのびやかにさせる「肝」の働きと相通じています。


春によくあらわれる病気や症状

かぜ・インフルエンザ

各季節にみられますが、三寒四温で気温の変化が激しい春先と寒さが厳しい冬に多くあらわれます。

  • ・青いかぜ
  • 強い寒気、発熱、頭痛、汗が出ない、うなじがこわばる水様の鼻水や咳・白い痰がでる
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 桂枝(けいし) 麻黄(まおう) 葛根(かっこん) 防風(ぼうふう)など
  • ・赤いかぜ
  • 発熱、寒気がする、頭痛、喉が腫れて痛む、少し汗をかく、黄色い鼻水や痰がでる
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 金銀花(きんぎんか) 連翹(れんぎょう) 薄荷(はっか) 板藍根(ばんらんこん)など
  • ・黄色いかぜ
  • 下痢、嘔吐、食欲不振
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 藿香(かっこう) 蘇葉(そよう) 白朮(びゃくじゅつ)など
花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎

春一番が吹くと花粉が飛び散るので、一番つらい時期になります。症状や体質により二つのタイプに分けられます。

冷えのタイプ
  • くしゃみ、寒気、水っぽい鼻水が止まらない、鼻、目のかゆみ
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 乾姜(かんきょう) 細辛(さいしん) 蒼耳子(そうじし)など
熱のタイプ
  • 鼻や目・耳がかゆい・痛い、粘膜が赤く腫れ熱感がある、くしゃみ、朝に目やに、鼻くそがある
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 菊花(きくか) 辛夷(しんい) 蒼(そう)耳子(じし)など
自律神経のトラブル   

春先の気温の変化により、肝の疏泄機能を防げ、自律神経のバランスが乱しやすくなります。ノイローゼ、イライラ、憂鬱、五月病があらわれます。また、精神的なトラブルにより胃痛、下痢、不眠等の症状もあらわれます。

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 柴胡(さいこ) 薄荷(はっか) 陳皮(ちんぴ) 刺五加(しごか)など
  •      

    かぜ、インフルエンザ、アレルギー症状などは、気血を増やし、皮膚や粘膜を強化することがもっとも重要です。

    • ≪よく使われる生薬≫
    • 黄耆(おうぎ) 白朮(びゃくじゅつ) 防風(ぼうふう) 板藍根(ばんらんこん)など

夏の漢方養生

日ごと陽射しが強くなり、吹く風も熱を帯び始めるようになります。この季節を元気に楽しく過ごすためにも、身体のコンディションを整えましょう。


夏と長夏の養生ポイント


夏には「心」、長夏には「脾」のケアが必要です

暑い夏は、血液循環を通して気血を全身に送り出し、身体を温める「心」の働きと通じるため、「心」は夏の養生に深く関係します。農作物が生い茂り、雨の多い長夏は、気血を生み出す「脾(胃)」の働きと通じるため、「脾」は長夏の養生に深く関係します。


夏によくあらわれる病気や症状

熱中症、日射病

暑さのなかで人は体内の気陰、津液(水分)を消耗しやすくなります。長時間の作業やスポーツ(直射日光下)を避けこまめに水分を補給したり、帽子や日傘を使用し、防暑対策に心がけましょう。

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 人参(にんじん) 麦門冬(ばくもんとう) 五味子(ごみし) 西洋人参(せいようにんじん)など
狭心症、脳卒中

汗をたくさんかくと血液濃度が上がり、微小血管が詰まりやすくなります。水分補給に心がけましょう。

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 丹参(たんじん) 川芎(せんきゅう) 紅花(こうか) 田七(でんしち)など
不眠、寝つきが悪い、目が覚めやすい

暑い夜が続くとイライラして、睡眠障害を起こしやすくなります。風通しを良くする工夫をしましょう。

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 山梔子(さんしし) 蓮肉(れんにく) 酸棗仁(さんそうにん) 茯苓(ぶくりょう)など
むくみ、だるさ

雨が多くジメジメした日が続くと脾(胃)の消化機能が低下します。食欲不振、だるさ、軟便下痢、むくみなどの症状があらわれます。健胃利湿の食材をとりましょう。

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 茯苓(ぶくりょう) 白朮(びゃくじゅつ) 蓮肉(れんにく) 白扁豆(びゃくへんず)など
食中毒、胃腸型かぜ

細菌やウイルスが繁殖しやすいため、料理には常に薬味を使い生ものは避け、食事の前は丁寧に手洗いしましょう。

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 藿香(かっこう) 蘇葉(そよう) 五行草(ごぎょうそう) 板藍根(ばんらんこん)など

秋の漢方養生

きのこや山菜、果物、脂ののった魚など、飲みすぎや食べ過ぎの胃腸のトラブルに気をつけて旬の味覚を頂きましょう。


秋の養生ポイント


秋には「肺」のケアが必要です

「肺」は秋の養生に深く関係します。秋が深まると気になるのは空気の乾燥です。のどのイガイガ感、空咳、息切れ、喘息、皮膚のかゆみ・かさつきなどのトラブルが起こりやすくなります。


秋によくあらわれる病気や症状

喉の渇き、空咳、喀痰

呼吸して息を吐くことで「肺」から水分を出しています。外気が乾燥すると肺から失われる水分の量が増えます。そのため呼吸器のトラブルが起きやすくなります。

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 麦門冬(ばくもんふゆ) 貝母(ばいも) 沙参(しゃじん)など
皮膚・粘膜のトラブル

肌が乾燥する時期です。乾燥肌でかゆい、フケが多い、唇の皮がむけやすいなどの症状があらわれます。肌に潤いを運ぶ「血」の巡りを良くしましょう。

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 当帰(とうき) 阿膠(あきょう) 地黄(じおう)など

脂性肌でかゆみがある、赤い発疹や化膿がおきやすい

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 竜胆(りゅうたん) 黄芩(おうごん) 金銀花(きんぎんか)など
髪の毛が細くなり、抜けやすい

髪の毛は陰血により養われます。髪の毛が抜けやすくなるなどトラブルが多い季節です。

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 女貞子(じょていし) 旱蓮草(かんれんそう) 地黄(じおう)など
便秘、コロコロした便が出る

漢方では、腸と肺は表と裏のような関係でつながっているといいます。食物繊維を多く含む食材と肺に潤いを与えてくれる食材は、便秘解消に効果があります。

  • ≪よく使われる生薬≫
  • 麻子仁(ましにん) 杏仁(きょうにん) 当帰(とうき)など

冬の漢方養生

冷たい北風が吹き、日を追うごとに寒さが増しはじめます。熊が穴にこもり冬眠に入るように、私たちのからだも新陳代謝が低下していきます。春の訪れを待ちながら冬のうちに1年の疲れをとり、英気を養いましょう。


冬の養生ポイント


冬には「腎」のケアが必要です

「腎」は冬の養生に深く関係します。生命力の源といえる「腎」を養うと強い体質づくりにつながります。


冬によくあらわれる病気や症状

腎のトラブル

腎は私たちの生命活動の源である「精」を蔵し、腰・骨(髄)脳(髄)・耳・生殖機能などと深く関わっています。過労、ストレス、不摂生は腎の機能と腎精を消耗させてしまいます。

腰や膝がだるい、痛い
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 独活(どっかつ) 杜仲(とちゅう) 牛膝(ごしつ)など
耳鳴り、耳が聞こえづらい
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 地黄(じおう) 磁石(じせき) 五味子(ごみし)など
記憶力の低下
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 亀板(きばん) 丹参(たんじん) 竜眼肉(りゅうがんにく)など
冷えのタイプ
  • からだを温め臓腑の働きを促す陽気は、気・血・津液(体液)を全身に巡らすためのエネルギーになります。腎の陽気は陽気の源で不足すると、冷え性・しもやけなどの症状があらわれます。
  • 冷え性、しもやけ
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 鹿茸(ろくじょう) 人参(にんじん) 附子(ぶし)など
  • 頻尿、夜間尿、むくみ
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 山茱茰(さんしゅゆ) 杜仲(とちゅう) 茯苓(ぶくりょう)など
熱のタイプ
  • 体内の陰液(血液・体液)は体を潤わせ臓腑器官の働きをささえます。からだの陰液の源である腎陰が不足すると、のぼせ・ほてり・口渇・寝汗などの症状があらわれます。
  • のぼせ、ほてり、口渇、寝汗
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 知母(ちも) 黄柏(おうばく) 亀板(きばん)など
  • 冷えのぼせ、ホットフラッシュ
  • ≪よく使われる生薬≫
  • 薄荷(はっか) 牡丹皮(ぼたんぴ) 女貞子(じょていし)など
かぜ、インフルエンザ、アレルギー症状などは、気血を増やし、皮膚や粘膜を強化することがもっとも重要です。

漢方元気便コラム